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エリック・ブリニョルフソン+アンドリュー・マカフィー「ザ・セカンド・マシン・エイジ」

2015年8月日経BP社発行 著者はマサチューセッツ工科大学のビジネススクール教授と主任研究員です。
テクノロジーが及ぼす影響について書かれていますが、経済政策、教育についても語られています。著者の職業柄だったことが、読んだかとでわかりました。
訳者村井章子さんの力もあると思いますが、理知的な語りで、読んでいる時に疑問反論が浮かんでこず読みやすかったです。

序文
・内燃機関が発明され、馬の需要は半世紀で88%近く減少した。
・ロボット、人工知能が次の10年で人間の労働者にとって代わる可能性は低い。長期的には機械でできない仕事はなくなる可能性はある。
・人間と馬との違いは資本を持てること。ただし資本の所有格差がある。
・経済における労働の役割が小さくなる中、経済のゆたかさをどう共有するか、格差の拡大にどう対処するのかを考える
第1章 人類の歴史の物語
・世界総人口のグラフと社会開発指数のグラフは一致している。産業革命を境にグラフの傾きがほぼ直角に変わった。
・蒸気機関の技術が寄与した産業革命は人類の歴史で「第一機械時代ファーストマシンエイジ」、そして今、コンピュータやデジタル技術による「第二機械時代」を迎えている
第2章 機械とスキル
・自動運転車は2002年のレースは散々だったが2010年にはグーグルカーが累計20万キロ走破、ハイペースで進歩。
・2004年は生身の人間の音声認識は困難との報告があったが、2011年アップルのiphoneには音声認識のsiriが搭載されている。
・グーグルの翻訳サービスは90もの言語に翻訳可能で無料。
・IBMのワトソンはクイズ王に勝利
(モラベスのパラドックス:一般通念に反して、高度な推論の実行にはコンピュータの演算能力をほとんど使わないが、ごく初歩的な知覚・運動スキルの習得には膨大な能力を費やすこと。人工知能やロボット工学の専門家が発見した)
・ブルックスのヒューマノイド型ロボットバクスターは、モラベスのパラドックスに挑戦する、人間のやる仕事をこなすロボットに挑戦
・コンピュータだけでなく周辺機器も進歩。3Dプリンタはさまざまな最終部品の製造にも活用されている。
これらのイノベーションは長い間ゆっくりとしか進歩していなかったが、突如として飛躍的な進歩を遂げた
第3章 ムーアの法則とチェス盤の残り半分
・ムーアの法則は集積回路の演算能力は指数関数的に、倍々で増大すること。集積回路だけでなく他のデジタルもそうなった。
・デジタル技術の進歩がこのところ急激に加速したように感じられるのは、ムーアの法則に従う指数関数的な高性能化がが実現した結果、コンピュータの性能が別次元に達したため。(注目すべき例外はバッテリ。バッテリは化学装置でデジタル機器ではないため)
・自己位置推定と周辺環境マッピングを同時に行うのは困難だったが、指数関数的な進歩で近い将来実現されるだろう。
第4章 デジタル化の大波
・ウェイズのサービスは目的地までの最短ルートをGPSだけでなくリアルな現地・ユーザ情報を加味してナビゲートする。
・デジタルマップ、GPS位置情報、ソーシャルデータ、センサー検出データを組み合わせたサービス
第5章 組み合わせ型イノベーション
・アイデアの組み合わせを見つける能力を増やすことが大事。
・イノセンティブはクラウド・ソーシング・サービスの一種で研究開発上の課題を抱える企業がインターネット上で解決を募り、最も優れたソリューションに賞金を与えるしくみで「オープン・イノベーション」や「クラウド・ソーシング」と呼ばれる。
・専門分野があまり関係なさそうな人の方がよい解決に近い
・スタートアップのアフィノフィは、選択しのセットの好きな方を選んでもらうことを繰り返すやり方で「人々の選好を短時間で探り出す方法をつかったマーケティングサービス。
第6章 人工知能とデジタル・ネットワーク
・AIでできることは増え続け、コストは下がり続け、小型のAIがあちこちに取り付けられて目に見えないところで活躍するようになる。
・セカンド・マシン・エイジの進行を加速させるもう一つの出来事は、地球に住む多くの人々がデジタルネットワークで相互に結ばれること。
第7章 セカンド・マシン・エイジのゆたかさ
・汎用技術は補完的にイノベーションを必要とする。補完的イノベーションの出現まで数年から数十年かかるため、この期間が技術の導入から生産性向上までのタイムラグ。電化時代もコンピュータ時代もこのタイムラグが見られる。
第8章 GDPの限界
・インターネットの情報や多くのアプリは無料。無料のモノやサービスは経済に価値を与えるがGDPに影響しない。
・生産性はGDPに基づいて計算されるので、無料のモノやサービスが増えても価値はあるが生産性が上がった事にならない。
・新しい指標の実用例として、人間開発指数、多次元貧困指数がある。もっと大幅な改善を期待
第9章 セカンド・マシン・エイジの格差
・技術により賃金と生産性は上昇したが賃金の中央値は上がっていない。成長の恩恵を受けた人と逆に下がった人がいて格差が広がっている。中央値の伸びが平均値を大幅に下回るのは、不平等が拡大していることが最大の原因。
・第一の勝ち組は高スキル労働者 企業がIT投資を行うと、新技術を生かすために組織や経営のありかたを見直すことが必要になる。組織やプロセスの再設計により、不要になる低いスキル労働者と求められる高スキル労働者があり、賃金に反映する。
・第二の勝ち組は資本家 資本偏重型の技術変化で資本家の取り分が増えて労働者の取り分が減少する。
第三の勝ち組はスーパースター
第10章 最強の勝ち組はスーパースター
・勝者総取り市場ではスーパースターが圧勝する。その市場が増えた原因は、1.デジタル化 2.通信・輸送技術の進歩 3.ネットワーク効果と標準化
第11章 ゆたかさと格差は何をもたらすか
・テクノロジーがもたらすゆたかさは、格差を埋め合わせできるというよりも、格差がゆたかさを減らす心配がある
・テクノロジーは構造的失業を出現させるかという問いに対して、取り組み不十分でそうなる事があるので、人間固有の価値創造能力を活用すべき
・グローバリゼーションの影響はどうか、オフショアリングされた仕事は定型的、反復的で組織化された仕事が多い。自動化に向かう通過点と言えそう
第12章 個人への提言
・人間は多彩な感覚と感覚に結びついたパターン認識能力によってデジタル労働者よりはるかに広い枠を扱うことがきる。この状況は当分続くと考えられる。
・学校に通っていない貧しい子供にコンピュータを渡すだけで、正確に読めるようになった。
・モンテッソーリ教育は、自主的な学習、さまざまな教具や動植物との感覚的なふれあい、自由な環境を特徴とする。グーグル、アマゾン、ウィキペディアの創始者がモンテッソーリ教育を受けていたことが知られる
・読み書き算数だけでなく、発想力、広い枠でのパターン認識能力、複雑なコミュニケーション能力を養うこと。そして可能な限り自己学習環境を活用するとよい。
第13章 政策提言
1.初等・中等教育を改善する(デジタル技術、先生の報酬と責任) 2.企業環境を整備する 3.求人と求職のマッチングを強化する 4.科学者を支援する(賞金) 5.インフラを整備する(世界から人材を呼び込む) 6.賢く課税する(ピグー税、超過利潤税)
第14章 長期的な提言
・ヴォルテールの名言「労働は、人間を人生の三悪、すなわち退屈、悪徳、困窮からすくってくれる」
ベーシックインカムは困窮からすくってくれるが他の二つには効き目がない。
・社会学者ウィリアム・ジュリアス・ウィルソン「仕事のない地域は、貧困な地域よりも悲惨な運命をたどる。・・・すなわち犯罪、家庭の崩壊、福祉や社会的つながりの欠如などは、基本的には仕事がないことに起因する。
負の所得税は、最低所得保障と就労のインセンティブを組み合わせた措置と言える
・アマゾンはサイトの商品重複をアルゴリズムだけで全部見つけて削除するのは難しいので、重複の可能性の高いページを見つけて人間に教えるソフトを作り、削除の最終判断は人間が行うことにした。このやり方はうまくいった。
・プロセスを意図的に、クラウドソーシングで労働集約的にする。
第15章 テクノロジーと未来
・リスクは格差の他に副作用がある。大規模災害、攻撃など
・特異点は近い
IMG_20170129_133857セカンドマシンエイジ
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山田日登志、片岡利文「常識破りのものづくり」

2001年NHK出版 二部構成で前半はNHKの片岡さんのドキュメント。後半はトヨタ生産方式の伝道師山田日登志さんの言葉です。

出荷を押さえる。必要なものだけ作る。仕掛品をできるだけなくす。作りすぎのムダ。1個流しで流れがわかる。セル生産から一人屋台方式。
「からくり」現場に応じた作るための道具をつくる。からくり人形 円運動と往復運動で動きが構成
できる人は一人でできて当たり前だが、モラルのある人が実績をつくると、私も一人でやれると思う。
活人と省スペース。赤字の現場は危機感がないサラリーマン根性になっている。人を育てるのに管理はいらない。
山田さんの製造の定義「製造とは自然界に眠っている資源を人類その他の利益のために加工して製品とし、最終的に自然界に資源として戻すためのプロセス」
標準とはムダを見分けるための単なる目安。分業が人間の能力をそぐ
ムダをなくせ。改善はわかったかではなくやれたか。できないは能力がない。難しいは対応能力が不足。

あらためて、参考になる話がたくさんあり、面白かった。
IMG_20161211_085058常識破りのものづくり



井熊均編著「『自動運転』が拓く巨大市場」

2013年日刊工業新聞社発行です。
1.エコカーの技術と、ハイブリットや電気自動車、化石燃料以外の動力源と、コスト、航続距離などの特徴、供給インフラ整備の実現性についてなど
2.自動車市場の成長が止まった4つの要因。郊外化の終焉、公共交通の魅力の向上、社会的投資力の低下、相対的な魅力の低下 財布をスマホに奪われた
3.公共交通の移動は軌道上・定刻、自動車は自由・随時。新たな市場はコミュニティ内・オンデマンドサービス。
自動運転の対象となる自動車「コミュニティ・モビリティサービス・ビークル:CMSV」コミュニティ・モビリティサービスが自動運転車で提供されるようになる。安全、事故発生時の責任などの問題がある。サービスのシステム、運用、インフラが必要になること。

これまでの分析と、今の流れで予測される近い未来像の話です。人の移動の話が中心で、物流に関しての話はありませんでした。
IMG_20161211_085115自動運転が拓く巨大市場

柴田英寿「匠のモノづくりとインダストリー4.0」

柴田さんは名古屋育ちで企業勤めの時はSCMシステムのSE、研究、講師、執筆などをやっている方です。

インダストリー4.0の紹介本としては、少し毛色が変わっている気がする本です。
世の中こんな動きだから乗り遅れちゃいけない、という感じのトーンではなく、違う目線があります。
掘りつくされる金属資源、リサイクル原価を含めて価格にするという話がありました。エネルギーや水の他、金属資源も重要と気づきました。

「匠」というタイトルがついているのは、人の手の技術を残すべきという意見です。ここの部分は、推進派と方向の違うところです。
ドイツ、アメリカとの違いの話。
ドイツの人は合理的に考えて正しいことを突き進める力がとても強い。
日本人、ドイツ人は企業を従業員で成り立つと考えるが米国人は株主のもので従業員は契約した仕事をするだけと考え、株主になることをめざす。

スタートアップは創業間もないことを意味し、創業して数年で結果を出す企業という使われ方をする。スタートアップは大成功すれば株式市場に上場し、そこまでの成功が見込めない場合は売却、多くは消える。スタートアップの社会的機能は、圧倒的な集中力と燃焼力で技術/製品開発を進めること

工場の「見える化」は目標、計画、規格、基準に対して実績をリアルタイムに比較して、異常値・変化点を見つけられること。即座に是正対応できること、是正を誰が何時何を行ったか記録できること、是正の承認記録があること。本質は、工程管理とその指示にもとづいた現場の工程別進捗・実績の完全管理にある。

経営コクピットが流行したが、あまり役に立たなかった。パソコンで経営数値やグラフを一目で見えるようにしたもの。これからはスマホ。

ソフトウェアを先につくるとモノづくりがソフトウェアに制約を浮けてしまう。

中心になる工程

20161111_120855匠のモノづくりとインダストリー4点0










佐藤航陽「未来に先回りする思考法」

佐藤さんは株式会社メタップスの社長。1986年生まれで大学在学中に会社を設立、2011年にアプリの収益化支援ビジネスを開始。若くて世間から注目される方です。

たまたま手にとって読んでみた本ですが、共感するところがけっこうあって、面白く読みました。
副題は「テクノロジーがすべてを塗り替える」 ちょっと構えるタイルですが、めずらしく手に取ってよかった。

話の中で、Google、Amazon、FacebookなどのアメリカのIT企業がよく出てきます。
気になった気に入ったところをピックアップ
はじめに
・未来を先回りする人はテクノロジーに理解が深く、経済、人の感情などの複数の要素を把握し社会が変化するパターンを見抜くことに長けている。
1章 テクノロジーの進化にはどんな「パターン」が隠されているか
・電気や蒸気などのテクノロジーは人間の機能拡張。コンピュータやインターネットは人間の機能のうち「知性の拡張」
・私たちの実行パターン①学習 ②パターン認識 ③予測 ④実行
・知性の発達プロセス①膨大な情報を蓄積 ②蓄積された情報から人間が手動で改善につなげる ③蓄積された情報から人間がパターンを抽出し、そのパターンをシステムに検知させ改善につなげる ④パターン認識そのものから改善のあめの判断まですべてシステムで行う。 モノのインアーネットは①~③、クラウド化されたAIが④をこなすと「知性」と呼べる
・テクノロジーは天才を量産。感情もロジック化
・宇宙からインターネット Google、Amazonがこの分野に投資。AppleとAmazonは自動運転車やスマートカーに参入
・想像できる技術のほとんどは実現される。点ではなく発展を線でとらえ、タイミングが大事

2章 インターネtットを中心とする新しいテクノロジーはこれから社会システムをどう塗り替えていくのか
・すべてを「原理」から考える。すべては「必要性」からはじまる
・社会システムの必要性、その必要性をテクノロジーで効率的に満たすための変化
・血縁型の封建社会から代理人によるハブ型の近代社会、情報伝達高度化でハブ不要になり分散型の現代社会へ
・国家と企業の役割の融合、自他 プライバシーの融合
・国家権力の一つ通貨発行権を持つ国家とビットコインの争い
・貨幣から価値へ。財務諸表に表せない価値。情報の価値。

3章 テクノロジーの進化は私たちにどんな問題をもたらすのか
・現代社会は情報が偏って存在しリアルで情報共有できない前提でハブの代理人をたてて機能させてきた
・シェアリングエコノミーは各個人の余ったリソースをネットワーク全体で共有しあうシステム
・Airbnbは個人の住宅の空きスペースを有効活用したい人と、安価に旅先の宿を確保したい人をつなげる、いわば個人間での「空間共有サービス」
・Zipcarはカーシェアリングで有名。2011年にナスダック上場
・Nextdoorはネット時代のご近所付き合いを再現するソーシャルネットワークサービス。近隣の人といらなくなった家具やイベント情報まで様々なモノや情報を共有しあうことができる。
・人工知能は人間を再定義する。人間の機械化と機械の人間化。どこまでが人間でどこまでが機械か。
・Googleの有名な「20%ルール」 就業時間の20%は会社から支持された業務以外の自分の好きなプロジェクトやアイデアに時間を費やしてよい。この仕組みはリスクヘッジのため。会社は常に正しい判断をし続けることはできないため、数万人の社員の業務時間の20%のリソースをリスクヘッジにあてている。誰も不確実性から逃れることはできないことを理解した組織づくり。
・現時点では合理的な答えが長期的にみれば必ずしも合理的でない。
・不確実性とリスクの本質を分析した「ブラックスワン」。
・資本は偏在し上位2割が8割を独占する。人間は経済活動するときに古くて実績のある存在を選ぶ傾向。アルバート=ラズロ・バラバシの新ネットワーク思考
・貨幣はデータであり概念的なものなので、物理法則は適用されずどこまでも増殖できる。

4章 未来を予測したうえで、個人はどう意思決定すべきなのか
・現状をひたすら効率化し続けることは、目的地への近道を探すことを放棄した思考停止の状態とも言える。
・どうすれば現状のやり方を効率化できるかと考える前に、「今も本当にそれをやる価値があるのか」を優先して考える癖をつけることを勧める。
・テクノロジーの現在地を知る。①使える ②ポテンシャルがわかる ③なぜできたのか原理から理解している ④実際の作り方がわかる の4段階。③が重要。
・パターンがつかめるまで失敗を重ねる。一度のトライで全体のパターンは理解できない。一定数のトライを重ねる
・ロジカルシンキングを疑う。論理性の高い判断が成功の可能性が高いわけではない。全体像を把握し体系的に理解することはできない。理解できない(情報のない)周囲の環境、競合がある。
・ロジックと結果は連動していないのに、すべての意思決定はロジックに依存するジレンマ。この矛盾をついた大物投資家は、自身の主観的な判断を信じずに、一定の基準を超えたスタートアップには等しく投資を実行するルールで成功した。
・どのフィールドで戦うか、市場の拡大に対して人材が足りていなければ一人ひとりの価値が上昇する。市場が縮小し人材があふれると価値が下落する。

20161029_082148未来に先回りする思考法2


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